デロリアン社製DMC-12とそのメインテナンスについて

DMC-12は、1981年から1983年までの間に約8000台生産販売されましたが、その多くが廃車にされることなく現存しております。三十年も前の車ですが、強固なスチールフレームとFRP製のシェル、ステンレス製ボディー外装のおかげで、雨ざらしによってシャシに過度の腐食が進行してない車両の多くは自走できる状態にまでレストアが可能です。新車発売当時はトラブルが続出したとされる駆動系・電装系についても、DMCグループを中心とする各社の努力により新設計の強化パーツの開発と供給が行われているため、三十年経過した現在の方が発売当初よりもはるかに信頼性の高いものになっております。DMCグループ各社は緊密な連携のもとに、現場メカニックの長年の経験に基づくパーツの改良や新パーツの開発と供給を続けており、これからも長年にわたって日本をはじめとする世界中のDMC-12ユーザーをサポートする体制を整えております。 
 ロータス社のコーリン・チャップマン氏による生涯最後の設計と言われるシャシと、ジウジアーロ氏によるシャープで魅力的なボディーデザインは、生産終了から三十年たった今でもその輝きを失っておりません。開発計画当初の予定とは異なり、資金調達の困難さなどの理由からエンジンはわずか140馬力の欧州製になり、当初ミッドシップと期待されていた駆動レイアウトも、生産段階ではRRタイプに変更されてしまいましたが、チャップマン氏のスポーツ・マインドは機敏なハンドリングとスポーティーなブレーキ性能等に生き続けております。アンダーパワーと酷評されたエンジン性能も、強固な設計の90V6エンジン(優に20万キロ以上の走行が可能であることは、ボルボ社が開発と生産に関わったことからもうかがえます。もちろん補器を含む全てのエンジン/ミッションパーツの他、エンジン/ミッション単体の供給も続いております)のおかげで、新しく開発されたステンレス排気系、高効率カムシャフト、スーパーチャージャーなどのパーツを追加することにより200馬力を超える性能まで無理なくチューンすることもできます。DMC-Jではこれら全てのパーツの販売と取り付け及び調整も行っておりますので、ご相談ください。オリジナルのDMC-12にこだわるか、高度にチューンされたDMC-12で往年のスーパーカーを楽しむかは、オーナー様のお好み次第です。また発売当時は女性には「重い」と感じられたステアリング系にも、昨年、電子式パワステ機構が開発され、販売/装着を開始いたしました。

 現代の自動車は、タイヤ性能が向上したおかげで、シャシ/サスペンション設計が貧弱でも、そこそこスポーティーに走らせることができます。それに対して、タイヤ性能が低かった1980年代のスポーツカーではシャシ/サスペンション設計は命ともいえるほど重要なものでした。DMC-12の限界性能の高さと限界性能に近づいたときの挙動は、現代でも一流のスポーツ性能を発揮します。DMC-12は映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー」シリーズで一躍有名になり、今でも「あの車がほしい」という若者や年配の方々からの問い合わせが絶えませんが、世界中に残る個体数が限られているため、なかなかご要望にお答えできないのが現状です。特徴的なガルウイング・ドアと30年たった今でも未来性を感じる流麗なボディー・デザインだけでなく、非常に低い着座位置とシートに座った瞬間に感じるスポーツ・マインドは、映画から得られるイメージをさらに超えるものです。シート、カーペット、ダッシュボードを含む全内外装パーツも、国内外の同クラスのヒストリックカーと比べておてごろな価格で供給されておりますので、年式相応にやつれた個体であってもご納得のいく価格で新車の輝きを取り戻すことができます。内外装の修理/部品交換作業につきましてもDMC-Jにご相談ください。


 DMC-12のスチールフレーム(手前がリアエンド)

 DMC-12のFRP製ボディシェル(この上にステンレス製スキンが装着される)

創業者ジョン・Z・デロリアン氏の夢はDMCグループに引き継がれています
DMC-12は進化を続けます

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